白鯨です

興味あること

今日読んで面白かった小説「人間小唄」

今日は「人間小唄」という変わった本を読んでみた。

2010年の10月18日に町田康によって講談社から刊行された長編文学だ。あらすじは大体こんな感じ。

小説家としてぼそぼそと活動を続けてきた糺田両奴の元に、ある日のこと分厚い封筒が送られてくる。中には汚れた紙きれが同封されていて、20首の短歌が書き連ねてあった。稚拙な歌にあきれ果てた糺田だが、何とはなしに自分の連載作品の中に無断掲載しまう。最新作「先送り・鰡の発光」を書き上げた糺田は、駅ビル内に店舗を構える書店でサイン会を開催する。サインを貰いに来た女性、新未無が例の短歌の送り主であることが判明。イベント終了後にふたりきりで食事をとった後に、糺田は未無のマンションに招かれる。突如部屋の中に闖入してきた小角という暴力的な男に、糺田は3つの無理難題を押し付けらることになるのだ。

作家としての才能もいまいちで、私生活でもトラブルだらけの糺田は異色な主人公だ。得体の知れない相手から受け取った短歌を、著作権もお構い無しに盗用してしまう軽薄さには笑わされる。糺田を不条理な世界へと導いていく、新未無のキャラクターもかわいい。当然のように自宅に誘われた糺田に待ち受けている、恐るべき事態には驚かされた。

非常識極まりない登場キャラクターたちの間で繰り広げられる、予測不可能なバトルが見どころ。ありきたりな純文学やベストセラー小説家に物足りなさを覚えている、読者家は是非手に取ってみて。